素直に口じゃ言えんでね

「夫に女がいます」そんなメールがきた。嗚呼、どうやら心優しき誰かが、私に伝えてくれた様子。只、亭主に?真面目で朴念仁、冴えぬ人、信じられぬ。

「本当、もう何年の付き合いになるだろう。離れられぬ仲?」またメール。なんだ…そんな。彼に訊くか。

「その通り、其処にある手紙、俺が打ったやつさ。素直に口じゃ言えんでね」嘘…どうして?

「簡単さ、全て飽き飽き実直でいる事さえも。筋を通すことも全部…投げ出し、自由の翼を手に入れる。悪いかな?」

自分を始め、子供共々如何いたします。不義が余りにすぎるのでは、ございませぬか。

「五月蠅い。元々は偶々の産物。弾みじゃ。旦那が為す事に口出しすんな」いいえ、斯様な事態になりました折、貴方は犬畜生にも劣る、低俗行為に身を染めております。

諌めるこそ我が役目。今一度ご再考を…。「ふん。散々働かせておきながら、もう出て行くぞ」